一つ目入道
ひとつめにゅうどう

 日本各地に伝わる一つ目の大入道の妖怪。

 新潟県の佐渡島では、一目入道と呼ばれる、加茂湖に棲む水神の話が伝えられています。
 ある日、湖畔にある潟端という場所に馬がいたので、一目入道は勝手に馬に乗って、遊びはじめました。馬主はそれを見つけて、一目入道を捕まえましたが、「魚を毎日届ける」という条件で許してやることにしました。一目入道は瑠璃の鉤を馬主に渡し、「魚を毎日これに掛けておきます。ただし、鉤は絶対に返してください」とお願いしました。
 その後、約束どおり魚が毎日届けられましたが、ある日、馬主は湖に鉤を返却せずに、潟端にあるお堂の観音様の白毫として使用してしまいました。
 それ以降、正月の15日になると、子分を引きつれた一目入道が攻撃しに来るようになりました。そこで、その日の夜はお堂を守っている家で祈祷が行なわれ、お堂の周りを若者たちが見張ると、翌朝、一目入道たちは逃げていったそうです。

 和歌山県には、行列を率いた一つ目入道の話が伝えられています。
 昔、上志賀にある川獺という庄屋で働いていた男性が、刀を衣奈という町へ届けに行きました。その途中、男性は立派な行列を目撃しました。殿様がいるわけでもなく、嫁入り行列でもないようだったので、彼は不思議な行列だと思いながら、松の木の上に隠れて行列を眺めていました。すると、行列は松の木のところで立ち止まり、大きな駕籠の中から、顔の中心に大きな目がある大入道が出てきました。それを見て驚いた男性は、うっかり声を出してしまい、大入道に見つかってしまいました。大入道が松の木を登りだしたので、男性は刀で大入道の頭を斬りつけました。斬られた大入道は叫びながら退散し、行列もどこかに行ってしまいました。その後、男性は無事に刀を届けたそうです。

 鹿児島県や宮崎県ではメヒトツゴロ、長崎県では目一つ五郎と呼ばれる一つ目入道の類が伝えられています。
 また、長崎県ではメットッポとも呼ばれる一つ目入道が伝えられています。人間に危害を加えることはないですが、怖ろしいものだと云われています。

 アイヌ民族には一つ目の大入道という怪物が伝えられています。
 これは樺太の西海岸タラントマリでいう、月のようにギラギラとしている目が一つある大きな妖怪で、夜になると出てきて、人を食べました。この化け物を退治してみると、その正体は、毛皮が松脂だらけでとても硬い、巨大な川獺だったそうです。

 


参考文献
本妖怪事典』 村上健司 (毎日新聞社)
本日本妖怪大事典』 水木しげる 画、村上健司 編著 (角川書店)


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