のっぺら坊
のっぺらぼう

 顔に目や鼻や口がない妖怪。
 その正体については、などが化けていると伝えている場合が多いそうです。
 「ノッペラボウ」という名前は昭和の戦後ごろから頻繁に使われるようになった呼び名であり、明治や大正のころは「ノッペラポウ」と書かれることが多かったようです。

 小泉八雲が書いた『怪談』に収められている「貉」という話では、東京の赤坂にある紀国坂で、男性が顔に目や鼻や口がない女を目撃します。彼が驚いて蕎麦屋の屋台に逃げ込むと、その屋台の主人も、やはり目鼻口がない卵のような顔をしていました……。
 岩谷小波の『大語園』が引いている『諸国怪談雑考』にも、これと似た話があるようです。津軽弘前(青森県)で、男性が「思い切れとて五合枡投げた、これは一生の別れ枡」と歌っていると、自分の声よりも良い声で同じように歌っている人が傍にいました。男性が「誰だ」と問うと、耳のすぐ近くで「俺だ」と声がしました。現れたのは、目や鼻や口がない化け物でした。男性が慌てて知人の家に逃げ込むと、知人の顔にも目鼻口がなく、それを見た男性は気を失い、そのまま命を落としてしまいました。ちなみに、この話では化け物の名前が「ずんべら坊」となっています。
 『新説百物語』には、頭が糸瓜ほどの大きさで目も口も鼻も耳もない「ぬっぺりほう」という化け物が、京都の二条河原に現われた話があります。ある人がその化け物に裾をつかまれたので、後で袖を見てみると、太い毛が10本ほど付いていたそうです。

 


参考文献
本妖怪事典』 村上健司 (毎日新聞社)
本日本妖怪大事典』 水木しげる 画、村上健司 編著 (角川書店)
本 『「怪」vol.0017』 (角川書店)


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