野槌
のづち


『今昔画図続百鬼』明 「野槌」
鳥山石燕
【江戸時代】

 奈良県や徳島県、中部地方などに伝わる蛇の妖怪。
 野槌(あるいは野椎)という名前は、野の神である萱野姫の別名として『日本書紀』や『古事記』に記されています。
 また、鎌倉時代の『沙石集』には、徳のない僧侶が死後に、目や鼻や手足がなく口だけがある野槌に生まれ変わったという話があります。
 江戸時代に描かれた鳥山石燕の『今昔画図続百鬼』(1779)にも野槌が描かれ、「野槌は草木の霊をいふ 又沙石集に見えたる野づちといへるものは目も鼻もなき物也といへり」 と記されています。
 『和漢三才図会』(1712)によると、野槌は尾と頭が同じ太さで、柄のない槌に似た蛇であり、大きなものだと直径が5寸、長さは3尺あるそうです。山中の木の穴の中にいるもので、和州(奈良県)に出没しました。人を見つけると坂道を転がってきて噛みつきますが、坂道を登ってくるときは動きが遅いので、野槌に遭遇したときは高い場所に逃げればよいと説明されています。

 群馬県にもノヅチと呼ばれる怪異が伝えられています。
 これは人が歩いているときに「トチトチ」と音がして、立ち止まると音も止まるのだそうです。

 


参考文献
本鳥山石燕 画図百鬼夜行』 高田衛 監修、稲田篤信 田中直日 編 (国書刊行会)
本妖怪事典』 村上健司 (毎日新聞社)
本日本妖怪大事典』 水木しげる 画、村上健司 編著 (角川書店)


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