銅鑵子
どうかんし

 長野県に伝わる妖怪。
 信州松代城の真田信之が芝村で隠居していた頃のある日。信之は網打ちをしようと、寵臣の鈴木右近を連れて金井池に行きました。しかし、網を引き上げようとしてもなかなか上げることができません。何かに網が引っかかっているようだったので、右近が水に入って見てみると、網には口のない薬缶に似たものが掛かっていました。それは銅でできているようにも見えますが、金属ではないようでした。右近はその正体不明の物体を自分の家に持って帰りました。
 その次の日の朝以降、右近の家では酒樽に酒を入れても次の日にはなくなってしまうという怪異が起こるようになりました。そこである日の夜、右近は酒樽を見張っていると、ゴロゴロと音がして、何者かがチュウチュウと酒樽の酒を飲み始めました。右近がそれを捕まえると、酒を飲んでいたのは金井池で見つけた物体でした。
 右近が主君にそのことを報告すると、主君は「それは稀代の品だ。銅鑵子と名付けるがいい」と言いました。右近は銅鑵子を自分の家の鎮守とともに祀ったそうです。

 


参考文献
本妖怪事典』 村上健司 (毎日新聞社)


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