小右衛門火
こえもんび

 『御伽厚化粧』や『兎園小説』に記されている火の妖怪。
 雨の降る日など、大和国(奈良県)の大山川に提灯ぐらいの大きさをした怪火が現われて、百済の奥壺という墓場から新堂村の小山にある墓まで移動しました。
 昔、小右衛門という農民がこの火の正体を解き明かすために川へ行くと、噂の怪火が出現。流星のような音を立てて頭上を飛び越えたので、小右衛門は杖で火を叩きました。すると火は無数に分裂し、小右衛門を取り巻きました。小右衛門は火を振り払って逃げましたが、その日の夜から病気になり、とうとう死んでしまいました。それ以来、怪火は小右衛門火と呼ばれるようになりました。
 『御伽厚化粧』には近江国に出現した小右衛門火の話が記されています。こちらの小右衛門は強欲な庄屋で、悪事が発覚したために処刑されました。それ以来、小右衛門の憎悪によるものなのか、怪火が出るようになりました。ある日、小右衛門火の噂を聞いた旅役者たちが見物に行くと、確かに怪しい火が現われました。彼らは、芝居で幽霊が現われるときにヒュードロの笛を吹くように、実際に笛を吹いて様子を伺うことにしました。長い曲と短い曲を吹くと、火は自分たちのほうへ向かってきます。その火の中に青ざめた顔が見えたので、彼らは驚いて屋内へ逃げたそうです。

 


参考文献
本妖怪事典』 村上健司 (毎日新聞社)
本日本妖怪大事典』 水木しげる 画、村上健司 編著 (角川書店)


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