鬼童丸
きどうまる


『今昔百鬼拾遺』霧 「鬼童」
鳥山石燕
【江戸時代】

『鬼童丸』
歌川国芳
【江戸時代】

 『古今著聞集』や京都の伝説に登場する鬼。
 京都に伝わる話によると、酒呑童子が源頼光に退治された後、誘拐されていた者たちはほとんどが故郷に戻っていきましたが、一人だけ狂ってしまい、故郷に帰らずに雲原で酒呑童子の子供を産んだ女がいたのだそうです。産まれた子供はすでに歯が生え揃っていて、七、八歳の頃には猿や猪を捕らえて食べていました。子供はやがて鬼童丸と名乗り、頼光の命を狙うようになったそうです。
 『古今著聞集』には、鬼童丸を退治する頼光の逸話があります。頼光が弟の頼信の家に行った際、厩に捕らえられている鬼童丸を見つけました。頼光は鎖で縛っておくように言いましたが、鬼童丸は鎖さえも簡単に切ってしまい、天井に隠れました。鬼童丸は頼光の寝床を覗き見ていましたが、それに気がついた頼光は「明日、鞍馬に参詣する」と従者に話し、まったく隙を見せませんでした。そこで鬼童丸は、頼光よりも先に鞍馬へ行き、牛を殺して腹の中に入って、頼光が来るのを待ち伏せしました。しかし、頼光はそれを見抜いていました。渡辺綱が矢を放ち、牛から出てきた鬼童丸を頼光が刀で斬って、退治したそうです。

 鳥山石燕の『今昔百鬼拾遺』(1781)にも描かれ、「鬼童丸は雪の中に牛の皮を蒙りて頼光を市原野にうかがふと云」 と記されています。

 


参考文献
本鳥山石燕 画図百鬼夜行』 高田衛 監修、稲田篤信 田中直日 編 (国書刊行会)
本妖怪事典』 村上健司 (毎日新聞社)
本日本妖怪大事典』 水木しげる 画、村上健司 編著 (角川書店)


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