陰摩羅鬼
おんもらき


『今昔画図続百鬼』晦 「陰摩羅鬼」
鳥山石燕
【江戸時代】

 鶴または鷺のような姿をした妖怪。
 『太平百物語』(1732)巻五「西京陰摩羅鬼の事」には次のような話があります。ある夏の日の夜のこと。山城国(京都)にいた宅兵衛という人が近所の寺で寝ていると、宅兵衛の名を呼ぶ声が聞こえてきました。宅兵衛が目を覚ますとそこには、色が黒く、目は灯火のように光り、人間に似た声で鳴く鷺のようなものがいました。後にこの話を聞いた老人は「それは寺に仮置されている死人が原因だろう。新しい屍の気が変化して陰摩羅鬼となると『蔵経』にある」と言ったそうです。
 『清尊録』にも同じような話があります。宗の時代のこと。鄭州にいた崔嗣復という人が都の外にある寺の法堂で眠っていると、突然、崔を叱る声が聞こえてきました。崔が起き上がるとそこには、黒い色をしていて、目は灯火のように光り、高い声で鳴く鶴のような形をしたものが羽を振り動かしていました。崔が驚いて逃げ出すと、妖怪はいなくなってしまいました。翌朝になってから寺の僧に妖怪のことを話してみると、僧は「この寺にそんな化け物はいないが、10日くらい前から死体を仮に納め置いている。もしかしたらそれかもしれない」と言いました。都に帰った崔は開宝寺の僧にもその話をしました。すると僧は「新しい屍の気が変化するとそうなる。これは陰摩羅鬼と呼ばれる」と教えてくれました。

 鳥山石燕の『今昔画図続百鬼』(1779)にも陰摩羅鬼が描かれ、「蔵経の中に初て新たなる屍の気変じて陰摩羅鬼となると云へり そのかたち鶴の如くして色くろく目の光ともしびのごとく羽をふるひて鳴声たかしとC尊録にあり」 と記されています。

 


参考文献
本鳥山石燕 画図百鬼夜行』 高田衛 監修、稲田篤信 田中直日 編 (国書刊行会)
本妖怪事典』 村上健司 (毎日新聞社)
本日本妖怪大事典』 水木しげる 画、村上健司 編著 (角川書店)


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