置いてけ堀
おいてけぼり


「本所七不思議之内 置行堀」
歌川国輝
【明治時代】

 埼玉県や東京都などに伝わる怪異。
 魚を釣って帰ろうとすると、「置いてけ、置いてけ」と声が聞えてくる堀。
 墨田区にあったという置いてけ堀では、「置いてけ」という声に驚いて逃げ帰ると、釣ったはずの魚が一匹残らず消えてしまったそうです。これは本所七不思議のひとつに数えられています。
 足立区にあった置いてけ堀では、「置いてけ」という声に驚いて逃げると道に迷ってしまい、そしてやはり、釣った魚も取られます。「置いてけ」と声が聞こえたときは、釣った魚のうち三匹だけを返せば何も起こりません。こちらは千住七不思議のひとつです。
 台東区にあった置いてけ堀には河童が棲んでいました。あるとき、河童は釣りをしていた農民に頭の皿を釣られてしまいました。このときに、河童が農民に「(皿を)置いてけ」と要求したのだそうです。

 柳田國男の「妖怪名彙」(1938)には「オイテケボリ 置いてけ堀という処は川越地方にもある。魚を釣るとよく釣れるが、帰るとなるとどこからとも無く、置いてけ置いてけという声がする。魚を全部返すまでこの声が止まぬという。本所七不思議の置いてけ堀などは、何を置いて行くのか判らぬようになったが、元はそれも多分魚の主が物をいった例であろう」 と記されています。

 


参考文献
本妖怪談義』 柳田國男 (修道社)
本妖怪事典』 村上健司 (毎日新聞社)
本日本妖怪大事典』 水木しげる 画、村上健司 編著 (角川書店)
本 『津々浦々「お化け」生息マップ』 宮本幸枝-著、村上健司-監修 (技術評論社)

関連頁
もののけが湧く書庫
 └ 妖怪名彙 柳田國男 1938〜1939年


もののけが集うホームページ

 

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